ブログ 町の法律日記

風雲急!衆議院解散総選挙

令和8年1月23日、衆議院解散!

令和7年11月4日更新のブログ「債権回収攻防戦(前編)」の最後で、
「詐害行為取消請求関連規定の『後編』は、
年明けに掲載する予定です。」
なんて書いて締めていましたが、
去る1月23日の通常国会召集日に衆議院が解散・・・。
急転直下、前回の衆院選からわずか1年ちょっとで
再び衆院選となり、2月8日が投開票日になりました。

本来であれば、このタイミングで「後編」を綴るつもりでしたが、
急遽予定を変更し、今回はこの衆院選にまつわる諸問題を
現行の日本国憲法に触れながら述べることにします。

なお、いつものことですが、
本稿は私の個人的見解を述べているものですので、
悪しからず。

衆議院はどのように解散されるのか

なんだか、テレビ等のマスメディアの報道を見ていると、
衆議院の解散は「首相の専権事項」等と言われているのを
耳にした方も多いと思います。

それって、本当なのか?

根拠となる条文は、日本国憲法の
「第4章 国会」にも
「第5章 内閣」にも無く、
「第1章 天皇」にあります(第7条)。

第7条は、天皇の国事行為を定めたものであり、
衆議院の解散は、天皇が、内閣の助言と承認によって
国民のために為すもの(第三号)となっています。

天皇は、この国及び日本国民統合の象徴(第1条)であり、
政治的な主張はできませんので、
あくまで「内閣の助言と承認」に基づき、
衆議院の解散という国事行為を形式的にします。

内閣というのは、内閣総理大臣(以下、「総理」)と
国務大臣によって組織され、
この国の行政権を司っています。

で、総理には国務大臣の任免権があり、
内閣は国権の最高機関たる国会に対して
連帯責任を負っていますので、一蓮托生。
「内閣の助言と承認」とは即ち、
「総理の意向」に等しい訳です。

総理の意向に反対する国務大臣がいたら、
総理は当該国務大臣を罷免し、
意に沿う者を国務大臣に任命すればいいだけの話ですから。

そんな訳で、衆議院の解散は、
別に首相(総理)の専権事項ということでなく、
あくまで天皇の国事行為なのですが、
実質的には総理の意のままであるため、
間違っているとまでは言えません。

衆議院の解散権は、総理の「伝家の宝刀」
と言われる所以です。

今回、総理は衆議院の解散(の助言と承認)に打って出ましたが、
こんな強大な権力を実質的に総理が握っていいものなのか?
気に入らない選挙結果になれば、次の総理が
全て「国民のために良くない結果だ!」と「助言と承認」をして
再度解散できてしまうのでは?濫用じゃね??
という危惧があります。

しかし一方で、行政権が属する内閣に一定の力が無いと
それはそれでよくない、とも言えます。

戦前の大日本帝国憲法下では、
総理の権限が弱かった(内閣の主席に過ぎなかった)ので、
例えば陸軍からの反発で組閣さえできずに終わった・・・
なんてこともありました。
そうやって、内閣より軍部の方が力を増していった過去があります。

現在の日本国憲法下では、
国会の両議院は、全国民の代表たる議員によって組織され、
その国会からの指名によって総理が選ばれます。

そして、国会(立法権)と内閣(行政権)と裁判所(司法権)は、
いずれも強大な権力であるがゆえに、いずれかが突出することのないよう
三権分立といって、互いに抑制と均衡が図られています。

国会には、内閣不信任案の可決や信任案の否決によって
倒閣できる権力を握らせる一方で、
内閣にはその返す刀として、衆議院の解散権が
実質的に認められていることで均衡が保たれていますので、
それなりによくできた制度であり、妥当だとも言えるでしょう。

内閣の「助言と承認」が適切だったのか、濫用だったのか。
衆議院が解散すれば、漏れなく総理も国会議員としての地位を失う訳ですから、
上記の是非も含めて、総選挙で国民が熟慮の一票を投じることになります。

ただ、一つだけ付言すると
昨今、選挙には多額の金がかかるから勿体ないという声が、
以前より大きくなっているように感じます。

民主主義は、あえて言えば面倒なシステムであり、
何かをしようとしてもスピード感に欠けるものですし、
独裁国家等と比して、非効率的な側面を持ったものです。

しかし、その面倒さが、とても大切なのです。
その大切なシステムの根幹を成すのが、選挙です。

ゆえに、「選挙のコストが勿体ない」という主張については、
(無論、選挙の運用面で無駄を省く努力は必要だと思いますが)
そんなことを言い出したら民主主義はお終いよ
という話だと思うので、一人で勝手に憂慮しております。

国民主権とは

日本国憲法下では、
(1)国民主権
(2)平和主義
(3)基本的人権の尊重
上記が3原則と言われています。

昨今では、国民の権利意識が強くなっていると言われており、
マスメディアでも国民の権利について語られていたりします。

それは確かにそのとおりなのですが、
個人的には、やや違和感を覚えます。

何がって、「権利、権利」と声高に主張するばかりであり、
権利を有するということは、その反面、義務(責任)もある、
という重要な視点に触れる媒体が少ないのでは?と感じるのです。

権利と義務は裏腹の関係にあり、
権利が大きければ大きいほど、
それに伴って義務(責任)も大きくなる。
これ、当然のことですよね。

国民主権を謳っているということは、
国民が選挙権を行使した結果、国家運営がうまくいかなければ
その責任は他の誰でもない、国民にあるということです。

世の中がうまくいかないのは、国のせい、議員のせい。
(ヒナン ハ スルケド ジブンタチ ニハ セキニン ナシ。)
そんな声がよく聞こえてくるのは、気のせいでしょうか・・・。

国民が選んだ、全国民の代表である議員で構成された国会と
そこで指名された総理とそれに伴い組織された内閣。

その「代表者」たちが犯した過ちの責任は、
当事者が負うのは勿論ですが、
選んだ国民も負うものなんですよね。
つまり、「不利益」というしっぺ返しを喰らうことになる。

「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、
国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。
又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、
常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」
(日本国憲法第12条)

権利を行使するからには、責任が生じる。
選挙権を行使する際には、
自分の生活さえよくなればいい、
楽になれることを言っている候補者を選べばいい、
というスタンスよりも、
「常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」ことを
肝に銘じる必要があるんですね。

議員は国民の「代表」ですから、
国民が無責任な場合、その代表は、無責任な人たち・・・。

自戒も含めて、2月8日は
責任ある1票を投じに行きましょう!
難しいんですけれど、ね。

【おまけ】消費税減税について

今回の総選挙で、政党別に政策の一つを見ると、
チームみらいの他は、どの政党も程度の差はあれ
消費税減税を掲げています。

これだけ多くの政党が「消費税減税」と言っているのなら
減税すればいい、と考える方は多いと思います。

実際、過去にも増税を掲げると政権が倒れたり、
与党が惨敗したりする現象が、日本に限らず見られます。

減税は、国民ウケがいい(当たり前)。
減税を謳えるものなら誰だって謳って当選したい、
と思うものかもしれません。

ここで、「常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」の観点から、
減税に賛成するのが責任ある行動となるのか、
減税に反対するのが責任ある行動となるのか・・・。

その是非の判断なんて、ここでできる訳がありませんが、
それはそれとして、今回の選挙、
一つの例として消費税減税をクローズアップし、
実際に消費税が減税になった場合の
「危惧」について述べてみます。

どこまでの消費税を、どの程度下げる(又は廃止)するのかは
各政党で分かれていますが、
仮に食料品について、消費税をゼロにする場合・・・。

まず、日本の特例国債(赤字国債)は、
1000兆円を優に超えています。
借金まみれですね。
加えて、日本はシルバー大国です。

「円が安全資産」と言われたのは
過去のこと?というくらい、円安で推移しています。

日本の先行きへの信用度が低下してきており、
国債の価値が下がる(リスクがあるので返済のための金利が上昇する)
傾向が見受けられる。
これが、現在のマーケットの反応です。

ここで、借金まみれの高齢者が、
年金か何かの収入(≒国であれば消費税等の税収)を
自分からせっせと減らしておいて、
お金が足りませんから、もっと貸してください(≒同、国債を買ってください)
と言いました。

皆さんがそう言われた場合、
お金を貸しますかね・・・。

お金を返す気があるのか?
とさえ思っちゃいませんか・・・?

貸さないか、貸すとしてもリスクが高いから利息を多く取りたい、
と思うのがフツウでしょうね。

で、国債の人気が下がり(安くなり)、利息(金利)が上がる。
円の価値も下がる(円安)。

すると、どうなるか。

借金(国債)を返済する際に支払う利息金だけでも
かなり増えるので、返済できない。
返済できないから、また返済するために借金(国債発行)をする。
で、円安も進行する・・・。

円安が進行すれば、日本は資源に乏しく、食料自給率も低いですから、
海外から輸入する食料品、物資の値段が全て高騰する。
国内で生産している食料品、物資だって、
燃料や材料は輸入しているものが多いので、
やっぱり全ての値段が高騰する・・・。
そもそも円安の場合、
日本の資産がより多く海外に流出する
ということでもあります。

こうなるとですね、食料品の消費税を
ゼロにする効果なんて吹っ飛んじゃう・・・
というか、逆に値段が上がるかもしれない。

物価高対策をするんじゃなかったのか!
と非難しても、後の祭り。
その責任(しっぺ返し)は
有権者たる国民にある、ということになります。
しかも、税収が減って、より一層、赤字まみれ。

昔取った杵柄、円は基軸通貨だから、
どんどん円を発行すればいい、デフォルトにはならない!
と主張する人もいますが、
そうすると円が紙くず同然になって超インフレを引き起こし、
経済がガタガタになる恐れだってあり・・・。

過去、財政難を解消するために
上記の貨幣改鋳のようなことをした経験が
国内でも海外でもある訳ですが、
経済が大混乱に陥るんですよね。

だから、通貨偽造罪って
凄く重たい罪な訳で。

とまあ、実際にどうなるかは、神のみぞ知るところ。
上述の危惧は、単なる杞憂で済むのか、否か。

強く豊かな日本になれば、私も嬉しい(当たり前)!

投票用紙も自宅に届いております。
さて、誰に投票し、どこの政党に投票しようかなぁ・・・。

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