ブログ 町の法律日記

建物の表示登記とは?

建物の表示登記は義務!

皆さん、こんにちは。
司法書士 土地家屋調査士 行政書士 おがわ町総合法務事務所の達脇です。
今回は、当事務所の業務内容の紹介第8弾、「土地家屋調査士編」建物の表示登記についてご紹介します。

不動産の登記は、大きく2つの部に分けられており、一つは「表題部」、もう一つは「権利部」です。
「表題部」とは、土地の場合であれば、どこに、どういう利用目的の、面積がいくらの土地がある、ということを明示しています。また、家屋の場合は、どこに、どういう利用目的の、どういう構造の、床面積はいくらの建物がある、ということを明示しています。
これら表題部の登記(表示登記)をする専門職は土地家屋調査士であり、表題部の登記は、登記するための原因が発生した日から1か月以内に管轄法務局に申請しなければならず、当該義務に違反すれば10万円以下の過料がかかることになっています。

他方、「権利部」の登記は、既にこのブログでも紹介したとおり、専門職は司法書士であり、その内容については過去のブログをご参照くださいませ。

さて、今回は、土地家屋調査士が専門職である表示登記のうち、建物の表示登記についてご紹介します。

建物の表示登記の種類

建物の表示登記といっても、まず、「建物」自体が、一戸建てのような建物もあれば、マンションの一室のような建物(区分建物)もあり、それぞれで異なるところもあることから、結構複雑だと言えます。

しかし、登記する目的別に見ると、主に以下のジャンルにまとめることができます。
(1)建物表題
(2)表題部変更・更正
(3)建物分棟・建物分割
(4)建物合体
(5)建物合併
(6)建物区分
(7)建物滅失
以下、それぞれどのような登記なのかを、ざっくりとご説明します。

(1)建物表題

主である建物(母屋)を新築した際、あるいは既に建物が建っているのに登記をしていない場合に、どこに、どういう利用目的の、どういう構造の、床面積はいくらの建物がある、ということを明示する登記です。
新築してから1か月以内に登記申請しなければなりません。
建物表題登記をしなければ、そこに所有権等の権利登記をすることができませんので、例えば第三者に対して、当該建物の所有者が自分であることを主張(「対抗」といいます。)することができないため、非常に重要な登記と言えます。

しかし、世の中には、例えば住宅ローンを組まずに現金で建物を建てた場合、建築業者から登記の案内が無く(案内が無いというより、登記をしなければならないことをご存じない業者さんが多いと言えます。)、登記をせずに現在に至っている(いわゆる「未登記建物」)、ということがよくあります。特に田舎では、わんさかあります。
住宅ローンを組む場合は、建物表題登記をしなければそもそも融資がなされないため、ほぼ100%登記がなされるのですが、現金で建てた場合には、誰も何も言わず、所有者も登記しなければならないことを知らないために、未登記建物となってしまい、何か紛争が発生したときにあら大変、ということになってしまう場合があります。

なお、建物が登記されているか否かは、毎年5月に自治体から発行される固定資産税・都市計画税納税通知書の家屋欄中、家屋番号欄に番号が記されているかで簡単に確認できます。確実を期すならば、法務局に行って、家屋の登記事項証明書の発行申請を行い、発行されるか否かで確認します。

何にせよ、建物が権利の客体(対象)として扱われるようにするために最初に行わなければならない重要な登記ですので、申請漏れがないように注意しましょう。

(2)表題部変更・更正

上記(1)建物表題で登記した内容に、変更が生じた場合や更正しなければならない場合に申請する登記です。

変更が生じる原因は様々で、例えば増築、減床、屋根の葺替え、建物の用途変更、附属建物を建てた・取壊した、建物の底地を分筆(一つの土地を複数に分けること。)した結果、所在の地番が変更になった等が挙げられます。
一方、更正とは、変更が生じている訳でなく、既に登記されている内容が、当該登記をした時点で錯誤により誤っていた場合に、それを正すことです。

(3)建物分棟・建物分割

既に登記している1棟の建物を、物理的に複数に分けた時に申請する登記です。
但し、例えば2つに分棟し、2つの建物のサイズが大小はっきりとしている場合は、一般的に小さい方を附属建物にすることとなりますので、これは上述の建物表題部変更登記として申請することになります。
なお、附属建物は、母屋(主である建物)と主従の関係にあり、主物の処分に従いますので、独立した1個の建物としては扱われず、家屋番号も付されません。家屋番号は、主である建物にのみ付され、附属建物は、その主である建物の登記記録中、附属建物として明示されるのみです。

一方で、等分棟した場合に、主従(母屋と附属建物)の区別をつけられず、所有者が2個の母屋(主である建物)とする意思を有する場合は、1個の建物を2個の建物にする建物分割登記を申請することになります。この場合は、それぞれの建物が各家屋番号を有する独立した建物となりますが、新たに発番された建物については、その権利証は発行されません。

その他、分棟しなくても、主である建物と附属建物が存在し、その附属建物を主である建物から切り離して独立させる(附属建物を別の主である建物として扱う。)ことにした場合にも、建物分割登記を申請します。

なお、建物分割登記は、物理的に変化があった訳でなく、所有者の意思によって為す登記であるため、申請期限はありません。

(4)建物合体

分棟があれば、合体もある・・・ということで、主従の関係にない複数の建物を増築して一体化させた場合には、建物合体となります。但し、この登記について説明しようとすると、やや複雑になってしまうため、ここで「ざっくり」とはいえ、説明するのは割愛します。

(5)建物合併

独立した複数の主である建物が存在するけれど、いずれか1棟についてを主である建物とし、その他の建物を当該主である建物の附属建物に変更する、結果的に「1個の建物」として扱う!という意思を所有者が有する場合には、建物合併登記を申請します。登記が完了した際、申請人が希望している場合には、権利証が発行されます。

なお、この建物合併登記も、物理的に変化があった訳でなく、所有者の意思によって為す登記であるため、申請期限はありません。

(6)建物区分

例えば1棟の建物(2階建)があり、1階と2階を移動するにも内階段が無く、外階段を利用しなければならないとします。このように、各階が独立した出入口を有し、それぞれが完全に区分されていて直接移動できない(構造上、利用上独立している。)場合、所有者の意思によって1階と2階を別の建物として登記するというのが、建物区分登記です。

アパートのような共同住宅、マンション等も、各部屋は構造上、利用上独立していますので、区分することができ、区分された建物を特に「区分建物」と言います。

なお、区分登記も、所有者の意思によって為す登記であるため、申請期限はありません。

(7)建物滅失

建物を完全に取壊した場合に申請するのが、建物滅失登記です。
建物滅失登記は、取壊しが完了してから1か月以内に申請しなければならず、申請すると、当該建物の登記記録が閉鎖されます。
かくして、建物の一生が終わります・・・。

おわりに

以上、建物の表示登記の種類について、大まかに説明しました。
表示登記は、多くの場合、建物図面や各階平面図という図面を作成したり、建物の位置について測量したりもしなければならないため、自力で申請するのは骨が折れる、と言えます。

必要に迫られたら、土地家屋調査士に相談してみましょう。

CONTACT
お問合わせ

司法書士 土地家屋調査士 行政書士 おがわ町総合法務事務所へのお問合わせは、
電話、メールのいずれからでも受け付けております。
お気軽にどうぞ。