ブログ 町の法律日記

HPを閲覧できなくなった!

それは青天の霹靂でした

去る令和6年6月3日は、
当事務所の開業記念日でした。

事務所を開いたのが平成25年(2013年)6月3日でしたから、
開業12年目に入ったことになります。

そんな、フレッシュさもやや希薄になってきた今日この頃・・・。

事件は突然に起こりました。

当事務所のホームページが開かない・・・!
その事実に気づいたのは、
偶然、自分の事務所のHPを見ようとした(ほとんど見ません)
令和6年5月24日のこと。

開業以来、一度もこんなことはなかったのに、
なぜ!?

調べてみると、このHPの場合、閲覧できるようにするためには、
毎年ドメインの更新とレンタルサーバーの契約更新を
入金処理によって行わなければならないのですが、
レンタルサーバーの更新費用を
支払っていなかったことが判明・・・。

ちなみに、更新時期は毎年GW時期なんですね。
契約期間満了日が、毎年5月5日なんです。
ということは、連休に入るか入らないかのバタバタ時期に
入金処理をしなければならないのですが、
クレジットカード決済が嫌いな私は、
あえて毎年、せかせかと振込処理をして
契約更新をしていた訳です。

で、今回、ドメインの更新については手続をしていたものの、
それで「終わったもの」と思い込み、
レンタルサーバーの更新費用の支払いを
すっかり失念していたのでありました・・・。

結果、どうなったかというと、
恐らく、5月6日から24日までの間、
当ホームページは閲覧できない状態になっていたのでしょう。

検索エンジンによっては、閲覧順位がガクンと下がりました。
まあ、閲覧できない状態でしたから、それはそれでいいのですが・・・。

ずっとバタバタしていて気が付きませんでしたが、
そういえば5月は普段より問合せ件数が少なかったような・・・
と思ったり。

異変に気付いた5月24日、
すぐに入金処理をしてHPを復旧させ、
現在は以前の状態に戻ったものの、
恐ろしいものですね。

という訳で、今回は、
令和2年4月1日から施行された改正民法のうち、
定型約款規定について述べることにしました。

これはこれで、改正されてから
もう4年も経っているのか!!

定型約款とは

契約を締結する際、「契約書」を用いることが多いのですが、
「契約書って何だ?」という人は、そう多くないと思います。

契約が成立したことを証する書面として、
後日紛争が生じた際や経理の際、
又は備忘録として用いることもあるでしょう。

その他、契約によっては、例えば保証契約のように
書面でなさなければ効力を生じないものもありますので、
当然に契約書を作成したりします。

一方で、「契約書」と同じくらいか人によってはそれ以上の頻度で、
「約款」というものに遭遇した人も多くいることでしょう。

改正民法が施行されるまで、
この「約款」というものの存在が、民法上の何にあたるのか、
いまいち「?」でした。

私のように、40代に入って老眼が進んだ者にとっては、
小さな字でビッシリ書き込まれた約款ってヤツは・・・。
全てを精読するのに相当の根気が必要なため、
よく読まずに「はい、はい」と合意する方も少なくないでしょう。

この約款というものは、「希薄の合意」と言われたりする程、
当事者が契約条項に合意しているのかがはっきりしない・・・。
でも、合意したらその契約内容に拘束されるため、
いかにも厄介な代物だ・・・と言えなくもないです。

そんな訳で、改正民法では、
「定型約款」という概念が登場しました。

ある特定の者が、不特定多数の者を相手にする取引であって、
その内容の全部又は一部が画一的であることが
当事者双方にとって合理的なものを「定型取引」と言い、
それに合意した者は、
当該定型取引において、契約の内容とすることを目的として
その特定の者が準備した条項の総体(これを「定型約款」と言います。)を
契約の内容とする合意をするか、
当該定型約款を準備した者が予め当該定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき、
当該定型約款の各条項についても合意したものとみなされる・・・。

逆に言うと、
定型取引に用いられないものや、
契約の内容とすることを目的としないもの、
当事者の一方によって準備されたものでなければ、
定型約款とは言えません。

さらに掘り下げると、そもそも定型取引に該当しなければ
定型約款になり得ない訳ですが、定型取引と言えるためには、
不特定多数の者を相手に行う取引でなければなりませんから、
相手方の個性に着目しない性質のものでなければなりません。

ならば、契約書の様式が画一的(いわゆる「ひな形」)だったら
不特定多数かというと、さにあらず。
契約そのものは相手方の個性に着目して締結しますので、
定型取引には該当しません。

契約内容について、画一的であることに合理性がなければ、
それも定型取引とは言えません。

と、そう考えると、
今回私がぶち当たったレンタルサーバーの問題。
あれを契約する際に出てきた「利用規約」は、
不特定多数の者を相手に行う取引であり、
取引の内容の全部又は一部が画一的であることが
当事者双方にとって合理的なものと言えますので、
「定型取引」と解釈することができ、
その定型取引に用いられ、
契約の内容とすることを目的とし、
レンタルサーバー事業者によって準備されたものですので、
「定型約款」と言えます。

そして、定型約款を準備する者は、
定型取引の合意前又は合意後相当の期間内に相手方から開示請求があったときは、
遅滞なく相当な方法で定型約款の内容を示さなければなりません。

本件の場合、インターネットで検索をかけると、
容易に該当事業者の定型約款を明示したページ(当該事業者のHP内)を
開くことができましたので、余裕で内容の開示を行っております。

が、そこでは「利用規約」となっており、
「定型約款」となっていない・・・。
利用規約と定型約款とで、違いがあるのでしょうか?

利用規約と定型約款の違い

改正民法で規定された約款と異なり、
規約には、法律上の定義がありません。

団体等内部に関するルールを「内部規約」と呼んだり、
外部に対して提供するサービス等に係る決まり事を「規約」と
呼んだりします(特に「利用規約」と言われることが多いように思えます)。

ゆえに、上述のとおり、
「利用規約」と言っていても、
「定型約款」の要件を満たすものは、
「定型約款」と解して支障ないでしょう。

・・・何だかねぇ・・・。

定型約款が変更されると

定型約款は、繰り返しになりますが、
「個」に着目せず不特定多数の者を相手に行う取引であり、
取引の内容の全部又は一部が画一的であることが当事者双方にとって合理的なもの
であることが前提です。

よって、その内容を変更する場合、変更する内容が
相手方の「一般」の利益に適合するときや、
契約目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性等、
変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、
相手方一人一人に対して合意を取り付ける必要はありません。

個別に合意する必要があるとすれば、
「個に着目している」ことになってしまいますから、ね。

但し、変更する際、定型約款を準備する者は、
その効力発生時期を定めて、かつ、変更する旨及び変更後の内容
並びにその効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法で
周知しなければなりません。

効力発生時期が到来するまでに上記周知がなされなければ、
効力を生じません。

ただ、ですね・・・。
そうは言っても、上記の「周知」って、
結構メールで届くもんですから、
迷惑メールと見分けられなかったりするんですよ・・・。

厄介な時代になったもんです。

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