ブログ 町の法律日記

行政書士業務の紹介

業務内容が正確に知られていない最たる例

今回は、当事務所の業務内容の紹介第10弾(シリーズ最終回)、
「行政書士業務」についてご紹介します。

「行政書士」というと、その職名を知っている方は非常に多いと思いますが、
具体的にどのような業務を行う人なのかを知っている一般の方は、
ほとんどいらっしゃらないと思われます。
何をする人なのか、よく分からない、と。

ここで言う「よく分からない」というのは、
純粋にどういう業務を行えるのかを知らない、ということの他に、
行えると思っていた業務、あるいは実際に依頼して行ってもらったことがあるけれど、
実は行政書士が扱ってはいけない業務であった、ということも含まれます。

なぜそのようなことが起こるのか、
そもそもなぜ「行政書士」という名称なのかは、
行政書士法に定められている行政書士の業務を調べると窺い知れます(※個人的見解です)。

まず、行政書士法の第1条の2第1項に、次の規定があります。

「行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(中略)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。」

官公署とは、国や地方自治体(都道府県・市区町村)の諸機関を総称したものです。
とすれば、「官公署提出書類を作成できる」とは、何やら無敵の職業のようにも思えてきます。
官公署には、裁判所も、検察庁も、法務局も、税務署も、何もかもが含まれているからです。

しかし、そういう訳ではありません。
というか、そんなに都合のいい職業な訳がありません。
行政書士法の第1条の2第2項に、次の規定があります。

「行政書士は、前項の書類の作成であっても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。」

これはどういうことかと言いますと、
他の士師業(ししぎょう)が独占的に行えることになっている業務はできませんよ、ということです。
士師業の「師」とは、例えば医師等。
「士業」(しぎょう・さむらいぎょう)とは、
例えば弁護士、司法書士、海事代理士、弁理士、土地家屋調査士、
公認会計士、税理士、社会保険労務士、行政書士、
が挙げられます。

各士師業には、それぞれその職能の使命、業務等を定めた法律が存在(例:司法書士法)し、
本ブログでも紹介してきたように、独占業務(他の職能は行ってはならない。)が規定されています。
つまり、上述の行政書士法第1条の2第2項は、
行政書士を除く他の士師業法で定められている独占業務を除く業務を扱えるのが行政書士だ、
と規定しているのです。
それって、「○○士」等どのような名称が適当かよく分からないので、
官公署に提出する書類を作成する仕事→行政全般→「行政書士」
と命名されたのだろう、と思います(※くどいですが、個人的見解です)。

そもそも、行政書士の旧名称が「一般代書人」だったことからも、
中らずと雖も遠からずかな、と。。。

ともあれ、このボヤ~ンとしつつ広範にわたる内容を業務としているので、
どのような業務を扱えるのかをご存じの方が少ないのだ、と言えましょう。

なお、「依頼したいことを受けてくれるんだったら、行政書士さんにお願いしたっていいじゃない、
面倒くさい。法律のことなんて知らないよ。」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
独占業務規程に違反した行政書士さんには懲役刑や罰金刑が課される虞がある他、
そもそも確かな知識を有しない方が専門外の業務を行い、
依頼者が不利益を被ることがないようにするために独占業務規程があると考えられることから、
依頼するなら、ちゃんと専門職の方にお願いすべきなのは明らかです。

許認可申請と権利義務・事実証明書類作成

上述のことを踏まえると、行政書士業務の中核は、
まさに官公署への許認可申請と、
権利義務・事実証明書類を作成することです。

許認可申請は、例えば一件500万円超の請負工事を行おうとする建設業者は、
該当する工事業に係る建設業許可申請をすることになり、その申請書類の作成を行うことができます。

権利義務・事実証明書類とは、例えば内容が決まっている売買契約書の作成であったり、
やはり内容が決まっている遺産分割協議書の作成(相続手続で必要になります。)を行うことができます。

当事務所は総合法務事務所!

これまで10回にわたってシリーズでご紹介してきたように、
当事務所は、司法書士業務、土地家屋調査士業務及び行政書士業務を扱っている総合法務事務所です。

例えば、一件500万円超の請負工事を行う建設会社を設立したい、とお考えの場合、
まず、司法書士業務として会社設立の商業登記申請を行い、行政書士業務として建設業許可申請を行います。

ある市街化調整区域内にある所有農地(原則として権利移転(例:売買)ができない。)を、
そこに家を建てたがっている人に売りたい、とお考えの場合、
行政書士業務として農地転用許可申請を行い、
司法書士業務として所有権移転登記申請を行い、
建物が建った後に、土地家屋調査士業務として
農地を宅地に変える地目変更登記申請、建物表題登記申請を行い、
再び司法書士業務として所有権保存登記申請を行う、
という一連の法的手続をワンストップで行うことができます(もはや何が何やら?)。

ともあれ、3つの士業を兼ねた総合事務所。
何かご相談事があれば、お気軽にお尋ねくださいませ。

CONTACT
お問合わせ

司法書士 土地家屋調査士 行政書士 おがわ町総合法務事務所へのお問合わせは、
電話、メールのいずれからでも受け付けております。
お気軽にどうぞ。