債務整理
夫婦で経営していた会社が
倒産
例えば「株式会社」といっても、実態が個人事業と差がない法人がたくさんあります。かかる法人が破産する場合、個人事業主の場合と比しておおごとになりがちですが、立ち直り、人生の再スタートを切るいい契機になる場合もあります。
実際の事例 ケース・スタディ
Xさんは、有限会社Aの代表取締役であり、Xさんの配偶者Yさんも同社の取締役でした。
しかし、有限会社Aの業績は近年赤字続きでXさん夫婦はほとんど収入が無い状態であり、ついに資金繰りに窮して破産するより他ない、という状況に追い込まれました。この時、有限会社Aには多額の借金があったのは勿論のこと、その借金の連帯保証人に代表取締役のXさん個人がなっていました。
また、Xさん夫婦の自宅は一軒家で土地も建物もXさんが所有者でしたが、住宅ローンの債務者がXさんで、Yさんが連帯保証人になっていました。
当事務所による解決
有限会社Aには売上がほとんど無く、借金の返済能力が無かったため司法書士の裁判書類作成業務として、地方裁判所に破産申立をすることになりました。それと同時に、Xさん個人の破産申立およびYさん個人の破産申立も行い、管財事件に移行。免責許可決定を得ました。
Xさん夫婦は破産により自宅を手放すことになりましたが、当該破産手続を通して家計簿を毎月こまめに作成することにより、家計の収入に対して支出がどのようになっているのかを把握できるようになりました。
破産は債権者にとっては基本的に債権を全額回収できなくなる手続であるため、その罪悪感に苛まれる依頼者様も少なくありません。
しかし、当事務所では「破産は同じ過ちを繰り返さず、人生の再スタートを切るための手続である」と考えています。ゆえに「破産できればそれでいい」ということでなく、やり直しの生活で再び債務超過に陥ることがないよう、依頼者様にはしっかりと家計を見つめ直し、うまく遣り繰りしていけるようになってもらうことを重視しています。
結果、Xさん夫婦は破産して債務が無くなったうえ、収入に見合った支出がどの程度のものかも理解できましたから、いいリスタートを切る目途を立てることができました。
チェック! 気をつけたいポイント
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債務整理をする場合、家族等、生計を一にしている方々の協力が必須になります。
家族等に債務の存在を知られたくない、とお考えになる方も少なくありませんが、隠しながら手続を行うことはできません。 -
本件のように、法人の破産や個人でも不動産を所有している場合、相続手続が未了の状態にある場合等で破産申立をするケースでは、通常、管財事件に移行します。
予納金(裁判所に納める金員)が高額になりますので、お金が全く無い状態になってからだと、破産すること自体が難しくなりがちです。 - 返済能力が無く、破産することになったとしても、依頼者様の人生はまだまだ続きます。同じ過ちを繰り返さないように、家計をしっかり見つめ直す必要があります。