ブログ 町の法律日記

検索用情報の申出制度が開始

令和7年4月21日からスタート!

以前、本ブログにおいて、
不動産の所有権登記名義人(所有者)の住所や氏名が変わった時は、
その住所の変更登記をしなければならなくなる(義務化される)ことを、
ちょこっと紹介しました。〔「所有権不明問題にメス!」(令和4年7月19日更新分)〕

その住所等変更登記の義務化は、
令和8年4月1日からスタートする訳ですが、
それに先立って、令和7年4月21日から
検索用情報の申出
という制度が始まることになりました。

今回は、その制度のご説明ということで。

制度の趣旨

「検索用情報の申出」と言われても、
何のことかさっぱり分かりませんよね。

この制度、一言で表すと
登記官が職権で不動産所有者の住基ネット情報を検索して、
変更後の住所に変更する登記をしちゃうことを可能にするものです。

なぜそんなことをするのかというと、
所有権登記名義人の現住所地や現在の氏名を
登記記録から容易に知れるようにするためです。

そもそも住所等変更登記が義務化されることになった目的が、
不動産の所有権不明問題を解消することにあり、
義務化されていなかったこれまでは、
例えば所有者の「登記記録上の住所」と
所有者の「現在の住所」が
一致していないことが少なからずあり、
管理等がなされていない不動産があった場合、
その所有者に適正な管理を求めようにも
「現在の住所」が分からず、求められない
といった問題がありました。

不動産の所有者になると、
一般的には司法書士に依頼して登記することになるのですが、
その時点での所有者の住所が登記されることになります(これが登記記録上の住所)。
その後、所有者が住所を移転(変更)した際に
新住所への変更登記をしていれば何も支障は無いのですが、
それをしなかった場合には、登記記録上の住所と現住所が異なるということに
なるからなんですね。

その「変更漏れ」を無くすために、
義務化して違反者に過料(2年以内に正当な理由なく変更登記を怠った場合、
5万円以下)を課すだけでは不十分なので、
変更登記の申請が無くても登記官が職権で
変更登記をできるようにしちゃおう、という訳です。

なお、この制度の対象となる所有者は、
日本国内に住所を有する自然人のみであり、
法人は対象外です。

国は、登記申請義務の負担軽減になるし、
「義務違反に問われることがなくなるという便利な制度」(法務省HPより)
と謳っていますが、
「ん?」と抵抗を感じる人もいるかもしれませんね。

具体的な申出方法

では、登記官が職権で住所変更登記をできるようにするための
検索用情報というものが何を指し、それをどう申し出るのか?

検索用情報とは、
(1)氏名
(2)氏名の振り仮名(氏名ふりがなの例:たつわき きよまさ)
※外国籍の方は、氏名の表音をローマ字で記載
(3)住所
(4)生年月日(例:平成10年10月10日)
(5)メールアドレス(例:ogah-0_q@j.co.jp)
(6)手書きの書面で登記申請する場合は、上記メールアドレスの振り仮名
(例:オー・ジー・エー・エイチ・ハイフン・ゼロ・アンダーバー・キュー@ジェー・
ドット・シー・オー・ドット・ジェー・ピー)
(7)上記メールアドレスが無い場合は、その旨

上記(1)から(7)を指します。

上記(6)に至っては、一体何なのだろうか・・・。
「アットマーク」と書かせないことがせめてもの救いか・・・。

なお、上記(5)のメールアドレスは、
登記官が職権で住所・氏名の変更登記を行っていいか否かを
所有権登記名義人に確認する際に使用するものであり、
上記の可否について法務局から電子メールで通知されることになります。

一方、上記(7)の申出をした場合は、所有権登記名義人の住所に
書面を送ることによって可否の通知をするようです。

これらを登記申請書に記載することで、
検索用情報証明情報を「添付」したことになります。
これが、申出の具体的方法です。

それにしても、ですよ。

住所変更や氏名変更した際に、申請時のメールアドレスを
まだ使用しているか微妙な気もしますし、
使用していても、いざ法務局からメールが来たら
スパムメールか迷惑メールと解して削除又は無視しちゃいそうだし、
メールアドレスを持っていない人も年齢によっては珍しくないですし、
そういう人にも文書で通知されることを考えると、
結局みんな、メールアドレスが無い、と申し出ればいいんじゃないか・・・
と思ったりもします。

なお、住所等変更登記が職権でされるのは、
検索用情報の申出をした登記申請に係る不動産に限られます。
検索用情報を提供せずになされた登記に係る不動産は対象外になりますので
あしからず。

今回は、このへんで。

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