ブログ 町の法律日記

戸籍にフリガナが記載!?

令和7年5月26日スタート?

今回は、本ブログで紹介した
「検索用情報の申出制度が開始」(令和7年3月3日更新)の
続編ともいうべき「戸籍にフリガナ」について綴ります。

検索用情報の詳細については
3月3日更新分のブログを読んでいただくとして、
検索用情報制度の眼目は、
不動産登記を申請する際に、
新たに所有権登記名義人になる人の氏名、
そのふりがな、生年月日及びメールアドレスの情報を
管轄法務局に提供することによって、
後日、所有者不明不動産が発生しないようにする
(容易に所有権登記名義人を特定・アクセスできる)
ことにあります。

令和7年4月21日からスタートした制度ですが、
検索用情報として所有者の氏名のふりがなを提供しようとしても
それを証する書面等が無いケースが多いの何のって・・・。

具体的には、所有権の登記の場合、
新たな登記名義人の住民票の写しを添付することが多く、
それを以て確認することが当該制度で想定されていたようなのですが、
住民票の写しに氏名のふりがなが明示されていない自治体は
たくさんある訳です。

私が事務所を構える比企郡小川町周辺で見ても、
例えば小川町やお隣の嵐山町、深谷市等では
住民票の写しに氏名のふりがなが記載されていますが、
寄居町、吉見町、毛呂山町、少し離れて川越市のような中規模の都市でさえ、
ふりがなが記載されていない自治体というのはあるのです。

じゃあ、何を提出するかって、
公的書面は無い訳ですから、
結局、自己申告・・・。
不正確極まりない・・・。
そんなこんなで、施行から1か月以上
経過しました。

で、今回、その不完全問題を解消できるかもしれないな、と思うのが、
令和7年5月26日から施行された今回の改正法。

正確には、令和5年6月2日、戸籍法(昭和22年法律第224号)の一部改正を含む
「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律」
(令和5年法律第48号)というもので、
実は同月9日に公布されていた代物です。

上記改正法が施行されたことにより、
これまで戸籍謄本等を取得しても
氏名にフリガナは記載されていなかったのですが、
それが漏れなく記載されるようになり、
ふりがなを証する公的書面が無い!
という問題は解消された・・・ように思えます。

施行日直前に、結構テレビのニュースでも扱われていたので、
ご存じの方が少なくないと思います。
が、某報道番組では、「デジタル化の一環として・・・」
なんて説明しており、
デジタル化と戸籍に読み仮名を記載するのと
何の関係があるの?と不思議に思った方も
多いことでしょう。

確かに、例えばパスポートとか、マイナンバーカードとか、
各種身分証明書には氏名の読み仮名の記載が無く、
本人の特定という点では不十分だったと言えましょう。

しかし、私なんぞは、そのような不備を解消するためというより、
先述の所有者不明不動産の発生を予防することに
眼目があるのでは?と邪推してしまう・・・。

あと、先程「令和7年5月26日から施行された」と言いましたが、
後述の理由から、「まだ過渡期」と言える状態です。
どういうことか?
それは、本稿の最後にて触れることにします。

いろいろある問題点

ともあれ、氏名の読み仮名問題、ここに解決!
めでたし、めでたし~
・・・かと思いきや、さにあらず。

当然、「振り仮名間違い」という問題に
直面することもありましょう。

そこで、「振り仮名間違い」が無いように、
まずは「戸籍に記載される振り仮名の通知書」なる文書が
私にも、皆様にも、本籍地の自治体から届く(又は届いた)ことになります。
なお、マイナポータルを利用している人には、
別途マイナポータルでもお知らせが届きます。

で、その通知書に記載されているご自身の氏名、
又はお子さん等の氏名の振り仮名が間違っていないかを確認し、
誤っている場合には即、届け出る必要があるのですが・・・。

1つ目の問題点として、この制度を知らない人は、
完全にスルーしてしまう可能性がある、ということ。

2つ目は、どのように悪用されるのかはちょっと分かりませんが、
詐欺等を企てている者が上記通知書を装って
何がしかの文書を皆様のもとに送りつけてくることがあるかもしれません。

なお、通知書に記載された振り仮名が正しい場合は、
届出をする必要はありません。

しかし、誤っている場合には、
施行日(令和5月26日)から1年以内に限り、
書面又はマイナポータルから市区町村に対して
届出をしなければ、市区町村長が戸籍に振り仮名を記載してしまいます。

届出をしないことによる罰則はありませんが(そもそも届出そのものに手数料はかかりませんが)、
「届出をしていないから刑事罰に処されますよ~」等と言って
金銭をむしり取ろうとする輩が出てくるかもしれませんよね・・・。
注意が必要です。

3つ目の問題点・・・というか注意点としては、
上述の誤りを訂正する届出は、1回に限り認められる、ということです。
「ちょっと名前の響きが気に入らないから、
この機会に訂正できるのかな?」なんて
出来心というか遊び心で訂正しようものなら、
本当の振り仮名でない振り仮名がバシッと登録されてしまいますので、要注意。

4つ目は、ある不動産を購入しようとする人がいる場合、
その人は新たに当該不動産の所有権登記名義人になる訳ですから、
不動産登記が必要になります。
司法書士に登記を依頼する場合、
これまでは新所有者として住民票の写し等を
提供するだけでよかったのですが、
住民票の写しに氏名の振り仮名が記載されていない自治体があった場合、
別途、戸籍抄本等を取得する必要があるのか・・・?という問題。

が、先日、法務局に上記の疑問をぶつけてみたところ、
どうも戸籍抄本の添付は求めないらしいのです。
ということは、結局、自己申告・・・?
なんじゃそら・・・。
でもまあ、正確を期すなら、
念のために戸籍抄本を取る必要があるでしょう、ね・・・。

そして、最後に5つ目の問題点。

令和7年5月26日の施行以降、
なんと、私の事務所がある小川町で、
町内に住所を有する方が住民票の写しを取得した場合、
以前は振り仮名が明示されていたのですが、
今は「******」と伏字になって
発行されるようになっているのです!

マイナンバーカードを利用して、
コンビニで住民票の写しを取得しても、同様です。

これは、どうしたことか・・・・・。
実はこれ、明示されるようになるのは上述の届出期限の1年後、
令和8年5月26日から、なのです!

「過渡期」と言ったのは、そのためです。

というか、従前は振り仮名が表示されていたのに、
表示されなくなって、1年後にまた表示されるようになるって、
一体何なの・・・。

なお、読み仮名が「*****」だと困る!という人は、
訂正する箇所が無くても、「読み仮名を付けて」と届け出れば、
1年を待たなくても読み仮名が表示されるようになるという・・・。

検索用情報証明制度・・・
何とも微妙な制度でございます。

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