前回のあらまし
前回のブログ「権利行使しないなら、私が」(令和7年10月1日更新)で、
こんなケースについて軽く触れました。
Aさんは、Bさんにお金を貸している。
Bさんは、Cさんにお金を貸している。
Bさんは、Aさんにお金を返さないばかりか
Cさんに対する焦げ付いている債権を回収しようともしない。
さらに、BさんがCさんに対して
「随分前に貸したお金だけど、
あれはどうせ返せないんだろうから
もう、あげるよ(贈与又は債権放棄)」
と言ってしまった・・・。
Bさんに対して債権回収に燃えるAさんが、
債権者代位権を行使して、Cさんに支払請求をしても
CさんはAさんに対して
「あれはBさんからもらったお金だ(=借金じゃない)」
と言って、支払を拒んでしまった。
このような場合、Aさんは諦めるしかないのでしょうか?
というもの。
一律にAさんが諦めるしかないとすれば、
さすがに理不尽な気がします。
そんなAさんが、要件を満たして然るべき手続をすれば、の話ですが
Bさんのドス黒い(注:あくまでAさん目線)目論見を挫くことができる
規定が、民法改正前から存在しました(第424条「詐害行為取消権」)。
この「詐害行為取消権」という規定は、
令和2年4月1日から改正法が施行されて
「詐害行為取消請求」に変わっていますが、
重要な変更として挙げられるものは無い、と言えます。
本ブログでも度々述べてきましたが、
改正民法あるあるで、従前は一般的な規定に止まっていたものを
通説・判例法理を注入して明確化したもの
と言っても支障無いレベルです。
が、判例の考え方を変えている部分もありますので、
今回を含む2回に分けて、詐害行為取消請求関連の規定を
述べてまいります。
こんなケースについて軽く触れました。
Aさんは、Bさんにお金を貸している。
Bさんは、Cさんにお金を貸している。
Bさんは、Aさんにお金を返さないばかりか
Cさんに対する焦げ付いている債権を回収しようともしない。
さらに、BさんがCさんに対して
「随分前に貸したお金だけど、
あれはどうせ返せないんだろうから
もう、あげるよ(贈与又は債権放棄)」
と言ってしまった・・・。
Bさんに対して債権回収に燃えるAさんが、
債権者代位権を行使して、Cさんに支払請求をしても
CさんはAさんに対して
「あれはBさんからもらったお金だ(=借金じゃない)」
と言って、支払を拒んでしまった。
このような場合、Aさんは諦めるしかないのでしょうか?
というもの。
一律にAさんが諦めるしかないとすれば、
さすがに理不尽な気がします。
そんなAさんが、要件を満たして然るべき手続をすれば、の話ですが
Bさんのドス黒い(注:あくまでAさん目線)目論見を挫くことができる
規定が、民法改正前から存在しました(第424条「詐害行為取消権」)。
この「詐害行為取消権」という規定は、
令和2年4月1日から改正法が施行されて
「詐害行為取消請求」に変わっていますが、
重要な変更として挙げられるものは無い、と言えます。
本ブログでも度々述べてきましたが、
改正民法あるあるで、従前は一般的な規定に止まっていたものを
通説・判例法理を注入して明確化したもの
と言っても支障無いレベルです。
が、判例の考え方を変えている部分もありますので、
今回を含む2回に分けて、詐害行為取消請求関連の規定を
述べてまいります。
詐害行為取消請求とは?
詐害行為取消請求とは、
詐害行為を取消すよう請求するものです。
・・・当たり前ですね。
では、詐害行為とは何ぞや?
上述の例を少し着色して、
BさんがCさんに対して
「随分前に貸したお金だけど、
あれはどうせ返せないんだろうから
もう、あげるよ(贈与又は債権放棄)」
と言った時、
そんな贈与又は債権放棄なんぞしてしまっては
債権者のAさんを害することになると
Bさんは勿論、Cさんも知っていた・・・。
そんなBさんとCさんの通謀による行為を
詐害行為と言います。
「詐」は、「あざむく」、「いつわる」
という意味で用いますから。
そんな行為に対しては、Aさんは待ったをかけられる。
要するに「そんな行為は取消し!」と主張できる。
具体的には、取消請求すると共に、
Cさんに移転した財産の返還請求をすることができ、
Cさんがお金でなく「物」をBさんから贈与等されており、
その「物」がすでにこの世に無くて返還が困難な場合には
その価額を償還するよう請求できる訳です。
但し、何でもかんでも主張できる訳でなく、
債権者(Aさん)、債務者(Bさん)、受益者(Cさん)、
はたまたBさんから得た利益を
Cさんから受け取った転得者(「Xさん」としましょう)
それぞれの公平性を考慮して、
いろいろと「どんな場合に詐害行為取消を主張できるか」が
規定されています。
詐害行為を取消すよう請求するものです。
・・・当たり前ですね。
では、詐害行為とは何ぞや?
上述の例を少し着色して、
BさんがCさんに対して
「随分前に貸したお金だけど、
あれはどうせ返せないんだろうから
もう、あげるよ(贈与又は債権放棄)」
と言った時、
そんな贈与又は債権放棄なんぞしてしまっては
債権者のAさんを害することになると
Bさんは勿論、Cさんも知っていた・・・。
そんなBさんとCさんの通謀による行為を
詐害行為と言います。
「詐」は、「あざむく」、「いつわる」
という意味で用いますから。
そんな行為に対しては、Aさんは待ったをかけられる。
要するに「そんな行為は取消し!」と主張できる。
具体的には、取消請求すると共に、
Cさんに移転した財産の返還請求をすることができ、
Cさんがお金でなく「物」をBさんから贈与等されており、
その「物」がすでにこの世に無くて返還が困難な場合には
その価額を償還するよう請求できる訳です。
但し、何でもかんでも主張できる訳でなく、
債権者(Aさん)、債務者(Bさん)、受益者(Cさん)、
はたまたBさんから得た利益を
Cさんから受け取った転得者(「Xさん」としましょう)
それぞれの公平性を考慮して、
いろいろと「どんな場合に詐害行為取消を主張できるか」が
規定されています。
第1のハードル「発生時期」
Aさんが詐害行為を主張するためには、
その詐害行為がなされた時期が問題となります。
AさんのBさんに対する
債権が発生する原因となった「事実」(※「債権」ではありません。)が、
BさんとCさんの詐害行為がなされるより前に
存在していなければなりません。
これは、まあ、当然といえば当然ですかね。
その詐害行為がなされた時期が問題となります。
AさんのBさんに対する
債権が発生する原因となった「事実」(※「債権」ではありません。)が、
BさんとCさんの詐害行為がなされるより前に
存在していなければなりません。
これは、まあ、当然といえば当然ですかね。
第2のハードル「債権の性質」
詐害行為取消請求は、Aさんたちが
市井で主張したり話し合ったりする訳でなく、
裁判所にて訴えなければならない(提訴しなければならない)ものです。
これが実質的には
一番ハードルが高いんじゃないかと思うのですが・・・。
で、提訴しなければ認められようがない請求である以上、
Aさんの債権は、究極的には強制執行によって
実現できる性質のものでなければなりません。
市井で主張したり話し合ったりする訳でなく、
裁判所にて訴えなければならない(提訴しなければならない)ものです。
これが実質的には
一番ハードルが高いんじゃないかと思うのですが・・・。
で、提訴しなければ認められようがない請求である以上、
Aさんの債権は、究極的には強制執行によって
実現できる性質のものでなければなりません。
第3のハードル「全員クロ」
このハードルについては、話せば少し長くなるので
「後編」で詳しく述べますが、
BさんもCさんも(Xさん等も)、
Aさんを害することを知ったうえでの
行為でなければならないのは、先述のとおり。
しかし一方で、いくらBさんとCさんが
Aさんを害することを知っていたとはいえ、
BさんがCさんに贈与又は債権放棄をしたのでなく、
BさんがCさんから相当な対価を得る取引をしていた場合にも、
一律に詐害行為取消の対象とするのは如何なものか?
という問題があります。
相当な対価を得る取引であれば、
特にBさんの財産を減少させる訳でないからです。
例えば、Bさんにはお金が無いけれど自動車があるとします。
Cさんは、Aさんと同じくBさんの債権者だったとして、
BさんがCさんに対して
「お金は無いけど、それと同価値の自動車があるから、
その自動車を譲るので借金をチャラにして」
と言った場合。
こういうのを「代物弁済」と言いますが、
BさんがCさんに自動車をもって弁済した結果、
Bさんの資産状況は、負債の借金額が消え、
その分、資産の自動車が消えているだけなので、
プラスマイナス、ゼロ。
Bさんの財産は減少していない、と評価できます。
が、Bさんは文字どおり、すってんてん。
AさんもCさんも共に債権者で平等であることが原則なのに、
Aさんの権利は害されまくっています。
こういう場合は詐害行為に該当するのか、否か・・・。
やはり、奥が深い。
そこで、改正法では
詐害行為取消請求をすることができる場合が
いろいろ規定されています。
少し詳しく見てみましょう。
「後編」で詳しく述べますが、
BさんもCさんも(Xさん等も)、
Aさんを害することを知ったうえでの
行為でなければならないのは、先述のとおり。
しかし一方で、いくらBさんとCさんが
Aさんを害することを知っていたとはいえ、
BさんがCさんに贈与又は債権放棄をしたのでなく、
BさんがCさんから相当な対価を得る取引をしていた場合にも、
一律に詐害行為取消の対象とするのは如何なものか?
という問題があります。
相当な対価を得る取引であれば、
特にBさんの財産を減少させる訳でないからです。
例えば、Bさんにはお金が無いけれど自動車があるとします。
Cさんは、Aさんと同じくBさんの債権者だったとして、
BさんがCさんに対して
「お金は無いけど、それと同価値の自動車があるから、
その自動車を譲るので借金をチャラにして」
と言った場合。
こういうのを「代物弁済」と言いますが、
BさんがCさんに自動車をもって弁済した結果、
Bさんの資産状況は、負債の借金額が消え、
その分、資産の自動車が消えているだけなので、
プラスマイナス、ゼロ。
Bさんの財産は減少していない、と評価できます。
が、Bさんは文字どおり、すってんてん。
AさんもCさんも共に債権者で平等であることが原則なのに、
Aさんの権利は害されまくっています。
こういう場合は詐害行為に該当するのか、否か・・・。
やはり、奥が深い。
そこで、改正法では
詐害行為取消請求をすることができる場合が
いろいろ規定されています。
少し詳しく見てみましょう。
詐害行為取消請求ができる場合
Aさんが、Bさんにお金を貸している。
Bさんにはお金が無く、自動車くらいしか
資産的価値があるものは無い。
Bさんは、債権回収に燃えるAさんが
提訴のうえ自身の自動車を差押えるのではないか・・・
と考えて、親友Cさんに愛車を売却する話を持ちかけた。
Cさんは、窮地に陥っている親友Bさんを救おうと、
Bさんの自動車を買い取り、対価を支払った。
その支払ったお金をBさんが隠匿し、
Aさんからの債権回収攻撃を回避するつもりであることを
百も承知の助で・・・。
このような場合、Aさんは詐害行為取消を請求できるでしょうか?
BさんとCさんの陰謀には、正義の鉄槌が下されるべきでしょう。
当然、請求できます!
では、AさんもCさんもBさんにお金を貸していて、
Bさんは金欠状態。
なのにBさんは、Cさんにだけ
弁済期が到来している借金を返済していた場合。
債権者平等の原則というものがありまして、
AさんもCさんも、Bさんから担保を取っていないようなケースでは
債権額に応じて平等に扱われなければならない状態にあります。
にもかかわらず、Cさんにだけ弁済するというのは不平等であり、
原則的にはよくないことなんですが、
それだけで詐害行為取消請求できる訳ではありません。
しかし、BさんとCさんが通謀して、
Aさんを害する(債権を回収できなくて困る等)意図をもって
弁済行為をしたのであれば、詐害行為取消請求の対象となります。
また、CさんのBさんに対する債権が弁済期到来前なのに
BさんがCさんに弁済したり、
ポムさん(第三者)が負っているCさんへの債務を
Bさんが勘違いしてCさんに対して弁済(非債弁済といいます。)した結果、
BさんがAさんに対して支払不能になってしまった場合はどうか?
この場合、Bさんが支払不能になる30日以内に
BさんとCさんが通謀して、Aさんを害する意図をもって行っていれば
詐害行為取消請求の対象となります。
債務者と受益者の通謀と
他の債権者を害する意図
というのが通底していますね。
Bさんにはお金が無く、自動車くらいしか
資産的価値があるものは無い。
Bさんは、債権回収に燃えるAさんが
提訴のうえ自身の自動車を差押えるのではないか・・・
と考えて、親友Cさんに愛車を売却する話を持ちかけた。
Cさんは、窮地に陥っている親友Bさんを救おうと、
Bさんの自動車を買い取り、対価を支払った。
その支払ったお金をBさんが隠匿し、
Aさんからの債権回収攻撃を回避するつもりであることを
百も承知の助で・・・。
このような場合、Aさんは詐害行為取消を請求できるでしょうか?
BさんとCさんの陰謀には、正義の鉄槌が下されるべきでしょう。
当然、請求できます!
では、AさんもCさんもBさんにお金を貸していて、
Bさんは金欠状態。
なのにBさんは、Cさんにだけ
弁済期が到来している借金を返済していた場合。
債権者平等の原則というものがありまして、
AさんもCさんも、Bさんから担保を取っていないようなケースでは
債権額に応じて平等に扱われなければならない状態にあります。
にもかかわらず、Cさんにだけ弁済するというのは不平等であり、
原則的にはよくないことなんですが、
それだけで詐害行為取消請求できる訳ではありません。
しかし、BさんとCさんが通謀して、
Aさんを害する(債権を回収できなくて困る等)意図をもって
弁済行為をしたのであれば、詐害行為取消請求の対象となります。
また、CさんのBさんに対する債権が弁済期到来前なのに
BさんがCさんに弁済したり、
ポムさん(第三者)が負っているCさんへの債務を
Bさんが勘違いしてCさんに対して弁済(非債弁済といいます。)した結果、
BさんがAさんに対して支払不能になってしまった場合はどうか?
この場合、Bさんが支払不能になる30日以内に
BさんとCさんが通謀して、Aさんを害する意図をもって行っていれば
詐害行為取消請求の対象となります。
債務者と受益者の通謀と
他の債権者を害する意図
というのが通底していますね。
債務者が払い過ぎちゃった場合
「第3のハードル『全員クロ』」のところで
少し触れた代物弁済の場合について、
少し補足します。
代物弁済は契約であり、例えば
BさんがCさんから100万円借りているとして、
Bさんには100万円なんて返せない。
でも、時価100万円の自動車を持っている。
そんな時に、BさんはCさんに対して
本来100万円を返すべきなのですが、
それに代えて、自動車をCさんに譲ることで
100万円弁済したことにする、
というものです。
但し、実社会において、
そんなに等しく対価性のある「代物」があることなんて
珍しいじゃないですか。
100万円の金銭債務に対して、
50万円相当の物を譲渡して解決することもありますし、
200万円相当の物を譲渡して解決、ということも
あるでしょう。
ちなみに、50万円相当の「代物」で弁済した場合、
まだBさんはCさんに不足分50万円の金銭債務が
残っている!・・・と思う方も多いでしょう。
しかし、代物弁済契約を締結したならば、
Cさんは不足分50万円をBさんに請求できません!
CさんのBさんに対する債権は完全に消滅しますので、
注意が必要です。
要するに、Cさんとしては、
このままではBさんから債権回収できそうにないから、
少し足りないものの踏み倒されるよりマシだ!
という損切り感覚で締結することが多いかもしれません。
逆に、200万円相当の「代物」で弁済した場合、
BさんはCさんに対して支払過ぎであるものの、
上記のケースから察するに、BさんはCさんに
「超過分の100万円を返して」と言えない!
・・・と思う方も多いでしょう。
しかしこの場合、CさんはBさんに対して
債権超過分の100万円をBさんに対して
清算金として支払わなければなりませぬ。
これは、つまり債権者さんは、
債権額以上に儲ける理由なんてないよね?
ということと解して支障ないでしょう。
閑話休題。
今回は詐害行為取消がテーマなので、
テーマに沿ったほうへ軌道修正すると、
債権者Aさんが詐害行為取消請求をしたくなる事案というのは、
代物弁済の場合、BさんがCさんに対して
債務額を超える「代物」で弁済した場合が多いでしょう。
このような代物弁済を、BさんとCさんが
Aさんを害することを知りながら行い、
Bさんが支払不能の状態になった場合、
Aさんは、Bさんが債務額を超えて弁済した部分について
詐害行為取消請求をすることができます。
但し、債務額を超えた弁済額が100万円で、
AさんのBさんに対する債権額が50万円だった場合は、
Aさんが詐害行為取消請求できるのは
100万円の超過分全額でなく、50万円の限度内になります。
上述した価額の償還請求についても同様です。
少し触れた代物弁済の場合について、
少し補足します。
代物弁済は契約であり、例えば
BさんがCさんから100万円借りているとして、
Bさんには100万円なんて返せない。
でも、時価100万円の自動車を持っている。
そんな時に、BさんはCさんに対して
本来100万円を返すべきなのですが、
それに代えて、自動車をCさんに譲ることで
100万円弁済したことにする、
というものです。
但し、実社会において、
そんなに等しく対価性のある「代物」があることなんて
珍しいじゃないですか。
100万円の金銭債務に対して、
50万円相当の物を譲渡して解決することもありますし、
200万円相当の物を譲渡して解決、ということも
あるでしょう。
ちなみに、50万円相当の「代物」で弁済した場合、
まだBさんはCさんに不足分50万円の金銭債務が
残っている!・・・と思う方も多いでしょう。
しかし、代物弁済契約を締結したならば、
Cさんは不足分50万円をBさんに請求できません!
CさんのBさんに対する債権は完全に消滅しますので、
注意が必要です。
要するに、Cさんとしては、
このままではBさんから債権回収できそうにないから、
少し足りないものの踏み倒されるよりマシだ!
という損切り感覚で締結することが多いかもしれません。
逆に、200万円相当の「代物」で弁済した場合、
BさんはCさんに対して支払過ぎであるものの、
上記のケースから察するに、BさんはCさんに
「超過分の100万円を返して」と言えない!
・・・と思う方も多いでしょう。
しかしこの場合、CさんはBさんに対して
債権超過分の100万円をBさんに対して
清算金として支払わなければなりませぬ。
これは、つまり債権者さんは、
債権額以上に儲ける理由なんてないよね?
ということと解して支障ないでしょう。
閑話休題。
今回は詐害行為取消がテーマなので、
テーマに沿ったほうへ軌道修正すると、
債権者Aさんが詐害行為取消請求をしたくなる事案というのは、
代物弁済の場合、BさんがCさんに対して
債務額を超える「代物」で弁済した場合が多いでしょう。
このような代物弁済を、BさんとCさんが
Aさんを害することを知りながら行い、
Bさんが支払不能の状態になった場合、
Aさんは、Bさんが債務額を超えて弁済した部分について
詐害行為取消請求をすることができます。
但し、債務額を超えた弁済額が100万円で、
AさんのBさんに対する債権額が50万円だった場合は、
Aさんが詐害行為取消請求できるのは
100万円の超過分全額でなく、50万円の限度内になります。
上述した価額の償還請求についても同様です。
期間の制限
最後に、詐害行為取消請求の時効について
触れておきます。
民法改正前は、
債権者が詐害行為取消の原因となる事実を知った時から
2年間行使しない、つまり裁判所に提訴しないと時効、
とされており、これについては改正後も変わりません。
しかし、改正前には、詐害行為の時から20年を経過した時も
同様に取消請求できないものとされていましたが、
改正後は、詐害行為の時から10年経過すると
取消請求できなくなりました。
民法の改正によって、
「20年」が「10年」に短縮されていることに
注意が必要です(改正されたのは5年以上前ですが・・・)。
今回は、このへんで。
詐害行為取消請求関連規定の「後編」は、
年明けに掲載する予定です。
触れておきます。
民法改正前は、
債権者が詐害行為取消の原因となる事実を知った時から
2年間行使しない、つまり裁判所に提訴しないと時効、
とされており、これについては改正後も変わりません。
しかし、改正前には、詐害行為の時から20年を経過した時も
同様に取消請求できないものとされていましたが、
改正後は、詐害行為の時から10年経過すると
取消請求できなくなりました。
民法の改正によって、
「20年」が「10年」に短縮されていることに
注意が必要です(改正されたのは5年以上前ですが・・・)。
今回は、このへんで。
詐害行為取消請求関連規定の「後編」は、
年明けに掲載する予定です。