ブログ 町の法律日記

【雑感】Y銀行の悲劇

いろいろある相続手続

今回は、少し思うところがあって
相続手続の実務について
ぶっ込んでみようと思います。

人が亡くなると、相続が開始します。
そうなると、
実に様々な手続が必要になる訳ですね。

●不動産があれば、不動産登記(俗に言う「相続登記」)
●金融機関での相続手続
●有価証券の相続手続
●自動車の相続手続(移転登録)
●貴金属なんかも相続の対象etc.

なお、葬儀・埋蔵や保険金問題は、
税は別として、相続の問題ではありませんので
悪しからず。

不動産の相続登記については
本ブログで過去に何度も触れていますので
特に述べませんが、
今回「雑感」を述べたいと思ったのは
金融機関での相続手続、
とりわけ大手Y銀行における手続についてです。

【Yの悲劇】序章

「大手Y銀行における手続」と言いましたが、
そもそも金融機関での諸手続って、
金融機関ごとにいろいろと異なる点があります。

大まかに見ると同じような手続でも、
「ちょっと各行(かくこう)で統一してくださいよ」
と言いたくなるようなことが
民間企業ゆえ仕方がないところもありますが、
多々あります。

例えば、相続と関係ないところで首を傾げてしまうのは、
現金を他行(たこう)の口座に振り込もうとする場合、
ほとんどの金融機関ではそれが可能なのに、
なんとY銀行では、口座間でしか他行に振込ができない!

要するに、Y銀行の預貯金口座から、他行の預貯金口座へしか
送金ができないのです。

もしY銀行の預貯金口座を有していなければ、
振り込みたいお金を握りしめてY銀行を訪れても、
他行の口座に振り込むことができないのであります。

なお、「預貯金」と言っているのは、
「預金」なのか「貯金」なのかを絞って書くと、
「Y銀行」というのがどこのことなのか
察しがついてしまうから。

・・・と書くと、ほぼ分かっちゃうじゃないか
という突っ込みが入りそうですが。

私は、このようなY銀行独自の
ガラパゴス的運用を、
「Yの悲劇」と呼んでいます(ウソです)。

なお、信じてもらえないかもしれませんが、
私は、別にY銀行のことを嫌っている訳ではありません。

できれば運用を改めていただきたいという
「Y銀行のいちファン」の心の叫びと
捉えていただけると幸いです。

【Yの悲劇】本題

さて、他にもいろいろありますが、
本題に入りましょう。

Y銀行における相続手続についてです。

司法書士は、「遺産整理業務」と言って、
相続人の方々からのご依頼があれば、
不動産の相続登記だけでなく
金融機関等の相続等各種手続を行うこともできます。
(司法書士法第29条、同施行規則第31条)

ゆえに、依頼者の方々との間で委任契約を締結し、
遺産整理業務を行うことが少なからずあるのですが、
金融機関における相続手続の手順は、
各行で様々です。

一日で手続が終わるところもあれば、
2回手続をする必要があるところもある。

が、Y銀行については、
例えば私が代理人として手続を行うんだけれど
Y銀行の口座を有していないという場合、
3回銀行を訪れることになってしまいます。

しかも、後述するとおり、
相続金は現金手渡しとなります。

1回目は、相続手続の申込とも言うべき手続です。

2回目は、Y銀行の相続センターから書類が送られてくるので、
それに記入押印等して、戸籍謄本等必要書類を持って
Y銀行に伺い、書類のコピー等をしてもらったうえで
書類を相続センターに発送する手続。

なお、この1回目と2回目の手続については、
戸籍謄本等を1回目に持っていくのか
2回目に持っていくのか
そういうレベルでも、
この10年程の間に何度も
変更(見直し)が繰り返されています。

で、3回目に、
相続センターから相続手続完了通知と共に
「払戻証書」というものが送られてくるので、
それを持って銀行を訪れ、払戻を受ける・・・。

なお、繰り返しになりますが、
上記は、手続をする人が
Y銀行の口座を持っていない場合を例にしています。

それにしても、これ、
結構すごいことだと思うんですよ。

Y銀行では、他行と比べて
1回ないし2回手続をする回数が多いだけでなく、
口座を有していなければ、
解約した被相続人のY銀行口座の残高を
現金で受け取る(払戻証書を提出して払戻を受ける)必要があるんですから。

残高が少額の場合は構わないと思いますけれど、
何千万円、何億円であっても
現金での受け取りになってしまう・・・。

物騒この上ないですよね。
で、そんな大金を持ち歩く訳にはいかないので、
その受け取った現金を他行に振り込もうとしても
先述のとおり、Y銀行でそれはできないのであります。

どうかと思いませんか・・・?
この運用は改めるべきだと思うんですよね・・・。

【Yの悲劇】注意点

まあ、それでも構わないということで、
払戻証書を握りしめてY銀行を訪れ、
現金化したらすぐ他行へ
現金輸送車さながらに運ぼうと決意したとします。

決行日は、〇月〇日!

が、最後に1点、注意しなければならないことがあります。

それは、決行日は
偶数月の15日から18日の間を避けた方がいい
ということです。

何のこと?と思う方もいらっしゃるでしょうし、
ピンときた方もいらっしゃるでしょう。

上記の避けた方がいい
「偶数月の15日から18日の間」というのは、
年金支給日とその直後の期間であります。

年金支給日である偶数月の15日に、
年金を一括して引き落として
現金を自宅で管理しようと考える年金受給者の方々が
銀行のATMで長蛇の列をつくっているのを
見かけた方も多いことでしょう。

つまり、その当日と直後の「偶数月の15日から18日の間」は、
Y銀行に蓄えているお金が枯渇している期間になっているのです。

Y銀行でなく他行であれば、特に支障ありません。
しかし、上記の例で、Y銀行で相続手続をする場合は、
支障ありまくりです。

払戻証書を提出しても、Y銀行にお金が無いため、
払戻を受けられず、無駄足になる可能性があるのです。

ゆえに、上記の期間を避けて
3回目の「現金受取手続」をするよう
注意しなければなりません。

でもまあ、Y銀行に限らずですが、
昨今多発している強盗事件を鑑みれば、
一番注意すべきは
年金支給日にせっせと自宅に何十万円という現金を
運び込むという危険極まりない行為を繰り返す
年金受給者の方々と言える気もしますけど、ね・・・。

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